体外衝撃波とは
体外衝撃波とは、身体の外から当てる衝撃波(音速を超えて伝わる圧力波)のことを指します。
そしてこれを医療に応用したのが「体外衝撃波治療」です。もともとは、結石の破砕治療として用いられていましたが、近年は整形外科の領域でも普及し始めています。体外衝撃波治療によって痛みを伝達する神経を変性させることで、疼痛を改善します。
なお、体外衝撃波治療は、拡散型衝撃波治療と、集束型衝撃波治療に分けられます。当院で行う「集束型衝撃波治療」では、特定の部位・深さにピンポイントにエネルギーを集中させることができます。
現在、慢性化した難治性足底腱膜炎に対してのみ健康保険が適用されています。当院ではそれ以外の疾患であっても、効果が期待できるものについては、低侵襲の新しい選択肢として、集束型衝撃波治療を行っています。
対象となる疾患
難治性の足底腱膜炎を含む、以下の疾患が主な適応となります。
- 足底筋膜炎
※約6か月以上症状継続している難治性の足底腱膜炎の場合は保険が適用) - アキレス腱炎、アキレス腱付着部炎
- ジャンパー膝(膝蓋腱炎)
- テニス肘、ゴルフ肘(上腕骨外側/内側上顆炎)
- 四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)
- 石灰沈着性腱板炎、肩腱板損傷
- 偽関節
- 疲労骨折
- 早期の離断性骨軟骨炎、骨壊死
- ばね指
- 肉離れ
- 変形性膝関節症
- 変形性股関節症
- シンスプリント
集束型体外衝撃波の効果
集束型衝撃波治療には、主に以下のような効果が期待できます。
- 痛みを伝達する神経の変性による、疼痛の改善
- 成長因子による周辺組織の修復促進
- 血流の改善、筋肉のリラックスおよび疼痛の改善
- リンパ管の新生による石灰沈着の吸収促進
- 骨形成の促進
当院で使用する
集束型体外衝撃波の特徴
当院では、集束型衝撃波治療の装置として、「BTL-6000 フォーカス®」を導入しています。
- 最新の発振システムである電気音響技術を採用することで、医療機器として国内では最大となる0.27mJ/mm2という出力を実現
- 0-65mmという幅広い焦点範囲を設定できる
- 短時間の治療によりしっかりとした効果が期待できる、効果が持続する
集束型体外衝撃波と
拡散型体外衝撃波の違い
集束型の特徴
「集束型」とあるように、衝撃波のエネルギーを限定された範囲・深さにピンポイントに届けることができます。またその最高出力は、拡散型の10倍以上にものぼります。
骨、腱、靭帯などが適応組織となりますが、とりわけ骨に対する高い効果が期待できます。骨細胞を刺激することで、骨癒合(骨がくっつくこと)を促進します。
拡散型の特徴
「拡散型」の場合は、デバイスの先端で最高出力が得られます。そしてその対象部位が深くなるほど、エネルギーは広く低くなっていきます。
筋肉に原因がある慢性疼痛など、患部が浅い・広い症例には適しています。その他、筋・筋膜疼痛症候群や筋肉の柔軟性不良、関節拘縮の改善などにも向いています。
集束型 | 拡散型 | |
---|---|---|
治療範囲 | 狭い | 広い |
到達深度 | 浅い~深い | 浅い |
出力 | 高い | 低い |
適応組織 | 骨、腱、靭帯 | 筋肉、腱、靭帯 |
治療間隔 | 1~4週間 | 1日~1週間 |
治療回数 | 1~4回ほど | 1~12回ほど |
治療の流れ
適応疾患の確認
医師の診察、レントゲン検査などを行い、集束型衝撃波治療の適応となるかどうかを判断します。治療内容、メリット・デメリット、費用などについて、ご理解・ご納得いただけましたら、治療へと進みます。
照射
検査結果を踏まえた上で、照射部を決定します。 低出力での照射からスタートしますが、患者様に確認を取りながら出力を上げていきます。 照射時間は、約10分です。
治療終了
治療が終われば、お帰りいただけます。2回目以降の照射が必要な場合は、一定の間隔をあけて、再度ご来院いただきます。 平均すると、2~3回の照射で効果を実感されるケースが多くなります。
治療の注意点
- 難治性の足底腱膜炎以外の疾患については、自費診療となります。
- 集束型衝撃波治療(体外衝撃波治療)は、必ず除痛できるという治療ではありません。現在のところ、60~80%において効果が認められています。
- 治療中には必ず痛みがあります。我慢できる範囲で、少しずつ出力を上げます。
- ごく稀ですが、副作用として、照射部位の一時的な腫れ・湿疹・斑状または点状出血、一時的な感覚異常・知覚低下・神経痛といった神経障害が起こることがあります。
集束型体外衝撃波の費用
保険の場合 (難治性足底筋膜炎のみ適応) |
3割負担 15,000円 (3回)片足 |
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自費診療の場合 | 11,000円 (1回) |
※1週間空けて施術可能労災保険、事故、自賠責保険での治療は出来ません
集束型体外衝撃波Q&A
治療中は、どれくらい痛いのでしょうか?
初めは低出力で照射し、その後患者様に痛みの程度を確認しながら、徐々に出力を上げていきます。言葉で伝えるのは難しいのですが、「なんとかじっとしていられるくらいの痛み」があるとお考えください。もちろん、患者様の意思を無視して出力を上げるということはございません。
1回の治療で、何分くらいかかりますか?
また治療は、何回必要ですか?
1回の照射は、約10分です。 回数については、平均すると2~3回、行います。それ以上の回数が必要になることもあります。 なお複数回実施する場合には、1週間以上の期間を空ける必要があります。
ダウンタイムはありますか?
治療後、痛みが残ることがありますが、24時間以内に消失します。 多くは、治療直後から普段通りの生活に戻っていただけます。
副作用が起こることはありますか?
照射部位の一時的な腫れ・湿疹・斑状または点状出血、一時的な感覚異常・知覚低下・神経痛といった神経障害が副作用として報告されていますが、いずれも稀です。 またこれらの副作用が生じた場合も、通常は数日程度で消失します。
体外衝撃波治療は、誰でも受けられるのでしょうか?
治療中の痛みはあるものの、メスも注射も使用しない低侵襲の治療として、基本的にはどなた様でも受けていただけます。 ただし、すべての疼痛・疾患に有効な治療ではありませんので、おすすめしないこともございます。その場合は、より適切な治療を提案いたします。